「求人を出しているのに、応募が1件も来ない」。
地方で会社を経営していると、この言葉を口にする社長は決して少なくありません。
ハローワークにも出した。
求人サイトにも登録した。
時給も同業他社に合わせて上げた。
それでも、電話は鳴りません。
この記事では、応募が来ない原因を「求人票の書き方」という一点にしぼり、ChatGPTなどの生成AIを使って求人票を作り直す具体的な手順を紹介します。
登場する会社と人物は、地方の中小企業によくある悩みをもとに構成した創作です。
よくある状況: 従業員15名の地方の建設関連会社。過去6か月でハローワークと求人サイトに合計3回掲載し、応募はゼロ。求人票の内容は10年前に作ったものをほぼそのまま使い回している。
応募が来ないのは、給料だけの問題ではない
応募が来ないと聞くと、多くの社長がまず給与条件を疑います。
しかし現実には、条件を数万円上げても応募が増えないケースは珍しくありません。
理由はシンプルで、求職者はそもそもその求人票を最後まで読んでいないからです。
求人サイトで求職者が1件の求人を見る時間は、数十秒程度といわれています。
その数十秒で伝わるのは、仕事内容の冒頭と、給与と、勤務地くらいです。
そこに「金属加工に関する業務全般」「その他付随する業務」といった言葉が並んでいると、求職者は自分が何をする会社なのか想像できないまま次の求人へ移ってしまいます。
つまり、応募が来ない原因の多くは、条件ではなく「伝わっていない」ことにあります。
人手不足は、すでに会社の存続に直結している
採用が難しくなっている実感は、数字にも表れています。
東京商工リサーチの調査によれば、2025年の人手不足倒産は397件と過去最多を記録し、4年連続で増加しました。
内訳を見ると、従業員の退職を理由とするものが110件、人件費の高騰を理由とするものが152件でした。
採用できないことは、もはや「困ったこと」ではなく、会社が続けられるかどうかの問題になりつつあります。
人手不足に関する主なデータ:
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 2025年の人手不足倒産 | 397件(過去最多・4年連続増) |
| うち従業員退職が原因 | 110件 |
| うち人件費高騰が原因 | 152件 |
出典: 東京商工リサーチ「2025年の『人手不足』倒産」
AIに求人票を書かせる前に、社長がやること
ここでよくある失敗が、AIにいきなり「求人票を書いて」と頼んでしまうことです。
それをやると、どこの会社にも当てはまる、当たり障りのない文章が出てきます。
AIは、会社の中で起きていることを知りません。
ですから、最初にやるべきことは、社長の頭の中にある情報を思いつくままメモに出すことです。
きれいな文章にする必要はありません。
箇条書きで、次の5つを書き出してください。
1つ目は、入社した人が最初の3か月で実際にやる作業です。
2つ目は、今いる社員が「この会社の良いところ」として口にしたことです。
3つ目は、正直に言って大変な部分です。
4つ目は、過去に辞めた人が挙げた理由です。
5つ目は、どんな人に来てほしいかという人物像です。
この5つがそろえば、AIは一気に具体的な文章を書けるようになります。
そのままコピーして使えるプロンプト
ChatGPTやClaude、Geminiなど、どの生成AIでも同じように使えます。
無料版で問題ありません。
下の文章をコピーして、【】の中を自分の会社の情報に置き換えて送信してください。
プロンプト例(求人票の下書き):
あなたは中小企業の採用に詳しい求人ライターです。
以下の情報をもとに、求人サイト掲載用の求人票を作ってください。
・会社: 【従業員15名、地方の建設関連会社、創業40年】
・募集職種: 【現場作業スタッフ】
・入社後3か月でやる仕事: 【先輩と2人1組での資材搬入、簡単な工具の使い方を覚える、現場の片付け】
・社員が言う会社の良いところ: 【残業が少ない、社長との距離が近い、経験なしで入った人が多い】
・正直に大変なところ: 【夏場の屋外作業、朝が早い】
・来てほしい人物像: 【体を動かす仕事が好きで、長く働きたい人】
条件は次の通りです。
1. 冒頭の3行で「どんな仕事か」が具体的に分かるようにする
2. 業界用語を使わず、未経験者が読んで想像できる言葉にする
3. 大変な部分も正直に書く
4. 「アットホームな職場」など、どの会社にも書ける表現は使わない
5. 仕事内容は箇条書きで5項目にまとめる
6. 全体で800字程度にする
出てきた文章は、そのまま使わないでください。
必ず読み返して、事実と違う部分を直します。
AIは、書かれていないことを想像で補って書いてしまうことがあるためです。
もう1歩踏み込む。3パターン作らせて比べる
1回で完成させようとしないことが、AI活用のコツです。
最初の求人票が出てきたら、続けて次のように頼みます。
プロンプト例(比較案を出させる):
今の求人票をもとに、書き出しの3行だけを3パターン作ってください。
Aは「未経験でも安心」を前面に出した書き方。
Bは「1日の流れ」が目に浮かぶ書き方。
Cは「この会社で働く意味」を伝える書き方。
それぞれ、どんな求職者に響くかも一言添えてください。
3つ並べて読むと、自分の会社に合う言葉がどれなのか判断しやすくなります。
この判断だけは、社長にしかできません。
AIに任せてはいけない部分
求人票には、法律で書き方が決まっている部分があります。
賃金、労働時間、社会保険、雇用形態といった労働条件の記載です。
ここはAIの文章をそのまま使わず、必ず自社の就業規則や雇用契約の内容と突き合わせてください。
実際と違う条件を掲載すると、入社後のトラブルにつながります。
AIに任せるのは、あくまで「仕事内容を分かりやすく伝える文章」の部分だと考えると安全です。
よくある質問
Q. AIに社員の名前や個人情報を入力しても大丈夫ですか?
A. 個人が特定できる情報は入力しないことをおすすめします。「30代の社員」のように、人物像だけを伝えれば十分な文章が作れます。
Q. 有料版のAIを契約しないと使えませんか?
A. 求人票の作成程度であれば、無料版でも十分に対応できます。まずは無料の範囲で試し、必要性を感じてから有料版を検討する順番で問題ありません。
Q. 求人票を作り直せば、すぐに応募は来ますか?
A. 掲載媒体や時期にも左右されるため、確実とは言えません。ただし「何をする仕事か伝わらない」という状態は確実に解消できます。まずは1媒体で書き換え、反応の変化を見るのが現実的です。
まとめ
応募が来ない原因は、給与条件よりも「仕事内容が伝わっていない」ことにある場合が少なくありません。
AIを使えば、社長がメモに書き出した情報から、求職者が読める言葉の求人票を短時間で作れます。
大切なのは、AIに丸投げしないことです。
会社の中で実際に起きていることを社長が書き出し、それを分かりやすく整えてもらう。
この役割分担ができれば、AIは採用の現場でとても心強い道具になります。
求人・採用でのAI活用をもっと知りたい方へ: YouTubeチャンネル「社長のAI参謀」では、中小企業の社長向けにAIの使い方を動画で解説しています。YouTubeチャンネルを見る →


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