【PR】この記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
トマトのハウスの横に建てたプレハブで、毎週月曜の朝、7人が集まります。
話すのは、その週の収穫の見込み、直売所の品出し、パートさんのシフト、機械の調子。
社長がホワイトボードに書きながら進めて、25分ほどで終わります。
字は社長の右上がりのくせ字で、話が早いときは単語と矢印だけになります。
終わると、みんなそのまま長靴でハウスに戻っていきます。
ボードの字は、昼の休憩のあと、出荷の数を書くために消されます。
木曜になって、直売所の係が言いました。
「のぼり旗の注文って、誰がするんでしたっけ」
月曜に話したのは全員が覚えていました。
誰がやると決めたのかは、誰も覚えていませんでした。
ボードには「話したこと」しか残っていない
消される前のボードを、スマホで撮っておく人はいました。
写真を見返すと、こう書いてあります。
「のぼり 古い 色あせ →新しく 10本?」
話題が出たことは分かる。
それが「頼むと決まった」のか「頼もうかという話が出た」だけなのか、この1行からは読めません。
担当の名前も、いつまでに、も書いていない。
会議の場では、社長が「じゃあ、それは頼んどいて」と誰かのほうを向いて言ったのかもしれません。
言われた本人がそれを自分のことだと思ったかどうかは、また別の話です。
全員がいるうちに、写真をAIに読ませる
録音の道具も、議事録の係もいらない方法があります。
会議の終わりに、ボードの写真を1枚撮る。
手帳やノートにメモを取った人がいれば、そのページも撮る。
社長のスマホで使っているAIを開き、画像を添付するボタンから写真を選びます。入力欄には、こう打って送ります。
ここまでを、全員がまだプレハブにいるうちに済ませます。
添付は、社内の会議で書いたホワイトボードの写真。
書いてある項目を1つずつ、次の4列の表にすること。
「書いてあること」「決まったことか、話が出ただけか」「担当」「期限」
担当と期限は、写真に書いてある場合だけ埋める。
書いていなければ「空欄」と書く。
決まったか、話が出ただけか、写真から判断できないものは「不明」と書く。
人の名前を推測で入れない。
読めない字は「判読できず」と書く。
最後の2行は、削らずに入れておきます。
これを入れずに頼むと、AIは表の空いた所を、ありそうな内容で埋めてきます。
「直売所の担当者」「今週中」のように、誰かが決めたような顔の担当と期限がついた表が返ってくる。
一見きれいにまとまっていても、それは会議で決まったことではありません。
ボードのほかに、ノートにメモを取っていた人がいれば、写真は2枚、3枚になります。
そのときは、頼む文の最後に1行足します。
「写真どうしで、担当・期限・数が食い違っている所があれば、表とは別に書き出すこと」
ボードには「10本?」、直売所の係のノートには「8本」と書いてある、といったずれが出てきます。
どちらが正しいかを、AIに決めさせる必要はありません。
ずれがあると分かれば、その場で本人どうしに聞けば済みます。
返ってきた表は、たとえばこういう形です。
| 書いてあること | 決まったか | 担当 | 期限 |
|---|---|---|---|
| のぼりを新しく、10本? | 不明 | 空欄 | 空欄 |
| 2号ハウスの換気扇、修理を頼む | 決まった | 空欄 | 水曜 |
| 来月のシフト希望、20日締め | 決まった | 判読できず | 20日 |
社長はこの表を、立ったまま上から読み上げます。
読むのは、空欄と「不明」と「判読できず」の所だけで構いません。
「のぼりは、頼むの、頼まないの」
「換気扇は、誰が業者に電話する」
その場で返事が出たら、表のその欄を声で埋めていきます。
名前を呼ばれた人が「はい、自分です」と口に出すまで、次の行には進みません。
うなずいただけでは、木曜にまた「誰でしたっけ」が起きます。
答えが出ないものは、「来週もう一度話す」と書けば、それも決まったことの1つになります。
3行の表なら、読み上げから埋め終わりまで、5分ほどです。
AIの字の読み違いは、ボードの前で直す
手書きの写真は、AIが読み違えることがあります。
「2号」を「Z号」と読む。
崩した「済」を「消」と読む。
ボードがまだ消されていないうちなら、書いた本人が見比べて、すぐに直せます。
昼を過ぎてから表を作ると、元の字が消えていて、直しようがありません。
困るのは、人の名前の読み違いです。
くせ字の「浜田」が「浜口」になると、担当の欄に社内にいない人の名前が入ったまま、表がきれいに出来上がります。
担当の列だけは、名前を呼ばれた本人に、自分の目で見てもらいます。
写真を撮る前に、ボードの端に担当の名前を書き足しておく手もあります。
名前は、話が決まったその場で、矢印の先に一言書けば済みます。
ボードには、取引先との値段の話や、パートさんの家の事情が書かれることもあります。
そういう行は、写真を撮る前に消すか、手で隠して撮ります。
埋まった表は、全員が見る場所に置く
埋め終わった表は、AIに「この表を、LINEに貼れる文にする、1行に1項目で、担当と期限を先に書く」と頼んで、短い文にします。
それを社内のLINEのグループに貼る。
パソコンを開かない人でも、スマホなら昼休みに見ます。
紙に印刷して、プレハブの入り口の冷蔵庫に貼っておく手もあります。
次の月曜は、その紙を見ながら始めます。
始めに、先週の行を1つずつ「済んだ」「まだ」「やめた」で読んでいく。
「まだ」が続いた行は、担当か期限のどちらかが合っていないので、そこで決め直します。
「やめた」も、きちんと1行として残します。
やめたことが書いていないと、3か月後に同じ話がもう一度出て、また同じ話し合いに時間を取られます。
AIに表を作らせるたびに、前の週の表も一緒に貼っておけば、「先週の表から消えた行」を挙げさせることもできます。
消えた行は、済んだのか、やめたのか、忘れたのか。
そこを聞くのは、AIではなく社長の役目です。
この農業法人で表を作り始めて2週目の月曜、冷蔵庫の紙には7行が並んでいました。
紙の下の余白には、パートさんの字で「冷蔵庫の上の段、空けてください」と書き足してありました。
期限を過ぎて「まだ」のままの行は、1行だけありました。
道の駅に出す新しい箱のデザインを、金曜までに決める。
担当の欄に書いてあったのは、社長の名前でした。
PRボードの写真から表を作るところまでを、社長だけでなく社員の誰もができるようにしたいときに、外の講師による企業向けのAI研修もあります。内容と料金は公式サイトに載っています。
登場する人と会社に、実在のモデルはありません。アイキャッチのイラストはAI生成です。


コメント