若手に話してきた失敗談を残す。社長のしくじりをAIで目次にする

若手に話してきた失敗談を残す。社長のしくじりをAIで目次にする 仕事効率化・副業

「社長、その峠の話、前にも聞きました」

言ったのは、入って2年目のドライバーです。悪気はなく、むしろ笑っていました。

トラック17台の運送会社を一代で始めた社長は、新人が入るたびに、自分のしくじりを話してきました。

雇われ運転手だった20代、冬の県境の峠でチェーンを巻くのを面倒がって、路肩で3時間動けなくなった話。

独立した年、5台で始めたばかりなのに「明日の朝までに」を8件受けてしまった話。

請求書の締め日を取り違えて、ひと月分の入金が遅れ、給料日の前日に銀行の窓口へ走った話。

どれも、話す相手と場所はばらばらでした。休憩所の自販機の前だったり、忘年会の二次会だったり。

だから2年目の彼は峠の話を2回聞いていて、請求書の話は一度も聞いていません。

話した数を、まず数えてみる

本にするかどうかは、あとで決めればいい話です。

最初にやるのは、これまで若手に話してきた失敗を、1つ1行でノートに書き出すことです。

「峠でチェーン、3時間」「5台で8件」「締め日まちがい、給料前日」。自分が分かれば、それで足ります。

書き出すのは、晩酌の前の20分くらいを1週間。思い出したら、その日の分に足していく。

この社長の場合、1週間で31行になりました。

そのうち、新人に繰り返し話してきたのは5つか6つで、残りはノートに書いて思い出したものです。

行の頭には、1から31まで番号を振っておきます。あとで数を合わせるときに、この番号が効いてきます。

31行を、AIに目次の形にさせる

行が並んだら、手元のAIに渡します。

ノートを写真に撮って読ませてもいいし、打ち直して貼ってもいい。字にクセがあるなら、打ち直したほうが読み違いがありません。

目次の案を頼む文:
下は、運送会社の社長である私が、若い社員に話してきた失敗の一覧。1行に1つ、頭に番号がついている。
これを本の目次にしたい。案を2つ出すこと。
案1は、起きた年の順。
案2は、新しく入った人が出会う順。「入って1週間」「最初の冬」「1年目」「人やお金を任されたとき」のような部に分ける。
章の題は、出来事の名前にする。「〇〇の大切さ」のような、教えをまとめた題はつけない。
各章の題の横に、その章に入れた行の番号を書くこと。
どの章にも入らない行は、無理に入れず「残り」として番号を並べること。

題が出来事の名前になっていれば、新人は目次を見ただけで「これはまだ聞いてない」と分かります。

番号を書かせるのは、次の数え合わせのためです。

返ってきた目次の、番号を数える

目次の案が返ってきたら、読む前に数えます。

章の横の番号と「残り」の番号を、ノートの1から31に鉛筆で印をつけながら拾っていく。

AIは、似た話を1つの章にまとめます。「バックで荷主の門柱をこすった」と「フォークの爪で段ボールを突いた」が、「荷扱いの失敗」という1章に収まる、という具合です。

まとめるのは構いません。困るのは、まとめた拍子に番号が1つ落ちることです。

この社長の場合、印のつかない番号が1つ残りました。

23番、「免許の更新、期限の前日に気づく」。

本人は、31行の中でいちばん笑って話せる失敗だと思っていた行です。前の晩に気づいて、朝いちばんに試験場へ車を出した。

「23番が、どの章にも残りにも無い。どこに入れるか、案を出して」と聞き直すと、「1年目」の部に入りました。

数えずに目次を読んでいたら、話の並びのよさに目が行って、1行足りないことには気づかなかったはずです。

名前の出る失敗は、ノートの最後のページへ

31行の中には、本に向かない話も混ざっています。

事故の相手がいる話。辞めていったドライバーとの、言い合いの話。荷主と揉めて、取引が切れた話。

社長にとってはいちばん効いた失敗でも、相手の側から見れば別の言い分があります。

本は相手も読めるので、この手の話は入れません。ノートの最後のページに書き写して、手元に置いておきます。

本にする話でも、取引先は「ある食品の荷主」くらいにぼかします。

迷うのは、自分ひとりが恥をかく話か、ほかの人も巻き込んだ話か、その境目にある行です。

迷った行は、いったん本に入れないほうに置きます。原稿ができてから戻すのは簡単ですが、出してから引っ込めるのは手間がかかります。

この社長が本に入れないと決めたのは、31行のうち7行でした。

年の順か、新人が出会う順か

2つの案を並べると、同じ行でも、本の顔つきがずいぶん違います。

年の順にすると、社長の半生の話になります。読み物としては落ち着く。

新人が出会う順にすると、峠の話は「最初の冬」の部に入り、締め日の話は「人やお金を任されたとき」の部に移ります。

どちらがいいかは、誰に渡すかで変わります。

これから入るドライバーに渡すのか。荷主や取引先に「うちはこういう会社です」と渡すのか。

Kindle本にしてAmazonに出せば、ドライバーにも荷主にも届きます。それでも、最初に思い浮かべる相手は1人に絞ったほうが、章の並びが決まります。

社長は、新人が出会う順を選びました。

24行を、11章に入れる

31行から、本に入れない7行を抜くと、残りは24行です。

1章を2,000字くらいで書くとして、24行を1行ずつ章にすると48,000字。1冊としては長すぎます。

そこで、AIが最初の案でやったのと同じように、似た話を1つの章にまとめました。ただし、今度は社長が自分で決めます。

門柱とフォークの話に「パレットのラップの巻き忘れ」を足して、3行で「荷扱いの失敗」の1章。

締め日の取り違えと、見積もりの桁の打ち間違いは、2行で「お金の書類」の1章。

峠の3時間は、話が長いので1行で1章。

こうして並べ直すと、3行で1章が4つ、2行で1章が5つ、1行で1章が2つになりました。

3行×4章で12行、2行×5章で10行、1行×2章で2行。足して24行、章は11です。

11章なら、22,000字ほどの本になります。

ノートの行の横には、何章に入ったかを鉛筆で書いておきます。31の番号のどれにも、章の番号か「本に入れない」の印がついていれば、数は合っています。

峠の話は3章

1章は「積み込みの数え間違い」で、「峠の3時間」は3章、「最初の冬」の部の頭に来ました。

「お金の書類」は9章。最後の部「人やお金を任されたとき」の、最初の章です。

各章の中身は、社長が話したことから起こします。1章ごとに、スマホで録音しながら、いつも新人に話している調子で10分前後。

文字起こしは、峠の名前や荷主の町の名前を聞き違えることがあるので、AIに渡す前にそこだけ目で追って直します。

AIに渡すときは、「話し言葉のまま、段落を分けるだけ。教訓の一文を最後に足さない」と添えます。峠の話は、チェーンを巻き終えたら空が明るくなっていた、で終わっていいのです。

録音は、休憩所の自販機の前で、峠の章から始めます。

聞き役は、峠の話を2回聞いた、あの2年目のドライバーに頼みました。

章立てから先を、人に任せたい方へ: このブログの運営者は、Kindle 本の出版代行をしています。オンラインで話していただいた録音をこちらで文字にし、章立てを組んで原稿にします。本の中には、話に出てきた実際の場面を描いた漫画が10ページ入ります。峠の3時間のような場面です。

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