「求人を出しているのに、応募が1件も来ない」。
地方で会社を経営していると、この言葉を口にする社長は決して少なくありません。
ハローワークにも出した。
求人サイトにも登録した。
時給も同業他社に合わせて上げた。
それでも、電話は鳴りません。
この記事では、応募が来ない原因を「求人票の書き方」という一点にしぼり、ChatGPTなどの生成AIを使って求人票を作り直す具体的な手順を紹介します。
登場する会社や人物に実在のモデルはなく、地方でよく聞く困りごとを組み合わせて描いた架空の設定です。
応募が来ないのは、給料だけの問題ではない
応募が来ないと聞くと、多くの社長がまず給与条件を疑います。
しかし現実には、条件を数万円上げても応募が増えないケースは珍しくありません。
理由はシンプルで、求職者はそもそもその求人票を最後まで読んでいないからです。
求人サイトを開いた求職者は、1件ずつじっくり読み込むわけではありません。
ざっと目を走らせて、仕事内容の冒頭と給与と勤務地を見て、次の求人へ移っていきます。
そこに「金属加工に関する業務全般」「その他付随する業務」といった言葉が並んでいると、求職者は自分が何をする会社なのか想像できないまま次の求人へ移ってしまいます。
つまり、応募が来ない原因の多くは、条件ではなく「伝わっていない」ことにあります。
人手不足は、すでに会社の存続に直結している
採用が難しくなっている実感は、数字にも表れています。
東京商工リサーチの集計によれば、2025年(1〜12月)の「人手不足」関連倒産は397件で、前年比35.9%増となり過去最多を記録しました。
内訳を見ると、従業員の退職を理由とするものが110件(前年比54.9%増)、人件費の高騰を理由とするものが152件(同43.3%増)でした。
なお、この集計に含まれるのは負債総額1,000万円以上の倒産に限られ、後継者が見つからずに事業をたたんだケースは別枠として扱われています。
つまり、純粋に「人が採れない・辞めた・人件費が払えない」ことだけで、これだけの会社が事業をたためた計算になります。
採用できないことは、もはや「困ったこと」ではなく、会社が続けられるかどうかの問題になりつつあります。
| 項目 | 件数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2025年の「人手不足」倒産(合計) | 397件(過去最多) | 35.9%増 |
| うち従業員退職が原因 | 110件 | 54.9%増 |
| うち人件費高騰が原因 | 152件 | 43.3%増 |
集計期間は2025年1月から12月。負債総額1,000万円以上の倒産が対象で、人手が採れない・辞められた・人件費が払えないという3つの事情によるものを数えた件数です(後継者難は別集計)。
出典: 東京商工リサーチ「2025年の『人手不足』倒産は過去最多の397件」(https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202275_1527.html)
AIに求人票を書かせる前に、社長がやること
ここでよくある失敗が、AIにいきなり「求人票を書いて」と頼んでしまうことです。
それをやると、どこの会社にも当てはまる、当たり障りのない文章が出てきます。
AIは、会社の中で起きていることを知りません。
ですから、最初にやるべきことは、社長の頭の中にある情報を思いつくままメモに出すことです。
きれいな文章にする必要はありません。
紙でもスマホのメモでもかまいません。
入った人が最初の3か月で実際にやる作業。
今いる社員が「この会社の良いところ」として口にしたこと。
正直、ここはきついという部分。
辞めていった人が去り際に言った理由。
そして、どんな人に来てほしいのか。
この5つが埋まると、AIが書いてくる文章は一気に具体的になります。
そのままコピーして使えるプロンプト
ChatGPTやClaude、Geminiなど、どの生成AIでも同じように使えます。
無料版で問題ありません。
下の文章をコピーして、【】の中を自分の会社の情報に置き換えて送信してください。
あなたは中小企業の採用に詳しい求人ライターです。
以下の情報をもとに、求人サイト掲載用の求人票を作ってください。
・会社: 【従業員15名、地方の建設関連会社、創業40年】
・募集職種: 【現場作業スタッフ】
・入社後3か月でやる仕事: 【先輩と2人1組での資材搬入、簡単な工具の使い方を覚える、現場の片付け】
・社員が言う会社の良いところ: 【残業が少ない、社長との距離が近い、経験なしで入った人が多い】
・正直に大変なところ: 【夏場の屋外作業、朝が早い】
・来てほしい人物像: 【体を動かす仕事が好きで、長く働きたい人】
条件は次の通りです。
1. 冒頭の3行で「どんな仕事か」が具体的に分かるようにする
2. 業界用語を使わず、未経験者が読んで想像できる言葉にする
3. 大変な部分も正直に書く
4. 「アットホームな職場」など、どの会社にも書ける表現は使わない
5. 仕事内容は箇条書きで5項目にまとめる
6. 全体で800字程度にする
出てきた文章は、そのまま使わないでください。
必ず読み返して、事実と違う部分を直します。
AIは、書かれていないことを想像で補って書いてしまうことがあるためです。
もう1歩踏み込む。3パターン作らせて比べる
1回で完成させようとしないことが、AI活用のコツです。
最初の求人票が出てきたら、続けて次のように頼みます。
今の求人票をもとに、書き出しの3行だけを3パターン作ってください。
Aは「未経験でも安心」を前面に出した書き方。
Bは「1日の流れ」が目に浮かぶ書き方。
Cは「この会社で働く意味」を伝える書き方。
それぞれ、どんな求職者に響くかも一言添えてください。
3つ並べて読むと、自分の会社に合う言葉がどれなのか判断しやすくなります。
この判断だけは、社長にしかできません。
AIに任せてはいけない部分
求人票には、法律で書き方が決まっている部分があります。
賃金、労働時間、社会保険、雇用形態といった労働条件の記載です。
ここはAIの文章をそのまま使わず、必ず自社の就業規則や雇用契約の内容と突き合わせてください。
実際と違う条件を掲載すると、入社後のトラブルにつながります。
AIに任せるのは、あくまで「仕事内容を分かりやすく伝える文章」の部分だと考えると安全です。
よくある質問
Q. AIに社員の名前や個人情報を入力しても大丈夫ですか?
A. 名前や連絡先といった、個人が特定できる情報は入れないでください。「30代の社員」程度に留めても、文章の出来は変わりません。
Q. 有料版のAIを契約しないと使えませんか?
A. 求人票の作成程度であれば、無料版でも十分に対応できます。まずは無料の範囲で試し、必要性を感じてから有料版を検討する順番で問題ありません。
Q. 求人票を作り直せば、すぐに応募は来ますか?
A. 掲載媒体や時期にも左右されるため、確実とは言えません。ただし「何をする仕事か伝わらない」という状態は確実に解消できます。まずは1媒体で書き換え、反応の変化を見るのが現実的です。
まとめ
応募が来ないとき、多くの社長はまず給与を疑います。
ですが実際には、そもそも最後まで読まれていないことのほうが多いのです。
社長がメモに書き出しさえすれば、文章はAIが整えてくれます。
今日できるのは、1媒体だけ書き換えて反応を見ること。
駄目ならまた書き換えればいい話です。
求人・採用でのAI活用をもっと知りたい方へ: YouTubeチャンネル「社長のAI参謀」では、中小企業の社長向けにAIの使い方を動画で解説しています。
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