特別養護老人ホームの事務長が、清掃の業者を替えようとしています。
いまの業者が、来年の3月で撤退すると言ってきたからです。
昼休み、事務室のパソコンで「市の名前 ビル清掃」と打ち、出てきた3社のホームページをタブで並べました。
3社とも、最初に開いたのは「会社概要」でした。
施設長に上げる比較のメモには、社名の横に1行ずつ書き込んでいきます。
A社は「従業員48名、うちの町も対応エリア」。
B社は「土日の作業可、賠償保険あり」。
C社の横には「?」が1つ。
うちの町まで来てくれるのかどうか、ページのどこにも書いていなかったからです。
C社の会社概要には、商号、代表者、設立、資本金、所在地、電話番号、事業内容の7行しかありませんでした。
電話をかける順番は、A社、B社、C社になりました。
会社概要は、登記簿と名刺の写しになりがち
C社は、従業員22名の地元のビルメンテナンス会社です。
定期清掃では、町でいちばん古い会社のひとつ。病院や施設の仕事も、何件か続けて受けています。
それでも、会社概要の7行からは、それが読み取れません。
ホームページを作ったとき、会社概要の欄は、たいてい社長が登記の書類か名刺を見ながら埋めます。
資本金と設立年は正確に書いてある。
一方で、電話の前の人が知りたいのは、「何人で来るのか」「うちの町まで来てくれるのか」「床に傷をつけたら誰が払うのか」のほうです。
社長にとっては当たり前すぎて、書く場所だと思っていなかった情報ばかりです。
電話の前の人の頭の中を、AIに書き出させる
足りないものを自分で考えようとすると、自分の会社のことを知りすぎていて、穴が見えません。
そこで、知らない人の役をAIにやらせます。
自社のホームページの会社概要を開いて、表の文字を全部コピーします。
画像ではなく文字で渡すほうが、AIの読み違いが減ります。
使っているAIの入力欄に、コピーした文字と、次の文を一緒に貼ります。
下に貼るのは、地方のビル清掃会社のホームページにある「会社概要」の表。
読む人の役は、介護施設の事務長。
清掃業者を替えるために、3社のホームページを見比べている。
この会社に電話をかける前に、確かめておきたいことを15個、思いつく順に書き出すこと。
それぞれの横に、この表を読んで答えが分かるなら「表にある」、分からなければ「表に無い」と書くこと。
会社をほめる言葉や、表に足す文章の案は書かない。
役は、自社のお客に合わせて変えます。
マンションの管理組合の理事、工場の総務の担当、新しく店を出す人。
C社の社長は、介護施設の事務長と、マンションの管理組合の理事の2つで聞きました。
返ってきた15個のうち、表にあったのは3つ
事務長の役で返ってきた一覧は、こういう並びでした。
どの市町まで来てくれるのか。
利用者が寝ている時間帯や、夜間に作業できるか。
スタッフは何人いて、1回の作業に何人で来るのか。
作業中の事故や、備品を壊したときの保険に入っているか。
病院や介護施設での作業の経験はあるか。
見積もりは無料か、現地を見に来てくれるのか。
インボイスの登録番号はあるか。
問い合わせの電話は何時まで出られるのか。
このあたりで、社長は手を止めて、自社のページを見返しました。
表を読んで答えが分かったのは、「事務所はどこか」「何をしている会社か」「電話番号」の3つだけ。
管理組合の理事の役でも、「何人で来るか」「保険」「対応エリア」は同じように並びました。
役を変えても出てくる質問から、手をつけます。
片方の役にしか出なかった質問は、後回しにします。
書ける行と、書かないと決める行
一覧をそのまま表の行にすると、表が30行を超えて、かえって読まれなくなります。
C社の社長は、印刷した一覧に、ボールペンで印をつけていきました。
すぐ書ける行には丸。
従業員数、対応エリア、作業できる時間帯、加入している保険の種類、インボイスの登録番号、電話の受付時間。
相手の了解が要る行には三角。
取引先の名前がそれにあたります。病院の名前を出していいかは、病院に聞くまで分かりません。
了解が取れるまでは、「市内の病院・介護施設(4か所)で定期清掃を担当」のように、名前を出さずに書けます。
書かない行にはバツ。
料金の目安は、建物の広さと汚れ方で変わるので、表には載せず「現地を見てからお見積もりします(無料)」の1行にしました。
AIに表の文そのものを書かせなかったのは、ここがあるからです。
「豊富な実績」「迅速な対応」のような言葉を足されると、事務長のメモに書ける中身が何も増えません。
AIに任せるのは、聞かれそうなことの一覧まで。
丸をつけた行も、書く前に書類を見る
すぐ書けると思った行でも、いざ数字を入れようとすると止まります。
従業員22名は、パートの人を含めた数でした。
現場に出るのは18名で、施設の夜間の作業に入れるのは、そのうち6名だけ。
事務長が知りたい「何人で来るのか」に近いのは、22より6のほうです。
表には「従業員22名(パートを含む。うち清掃スタッフ18名)」と書き、作業の人数は「1回2〜4名」と別の行にしました。
保険の行は、事務所の金庫から保険証券を出してきて、書いてある保険の名前をそのまま写しました。
社長が覚えていた名前と、証券の名前は少し違っていました。
対応エリアは、車で片道40分までの市町、と社内で線を引いてから書きました。
線を引かずに「近隣地域」と書くと、どこまでが近隣なのかを確かめる電話が増えるだけです。
電話の受付時間は、事務の人が2人とも出ている時間に合わせて「平日8時半〜17時半」。
土曜の午前は社長の携帯に転送されるので、そこは書きませんでした。
AIは、この会社の保険証券も、スタッフの勤務表も見ていません。
会社概要の下に、もう1つ表を足す
7行の表は、そのまま残しました。
登記に合わせた情報として、銀行や役所の人が見ることもあるからです。
その下に、「ご依頼の前に」という見出しで、新しい表を1つ作りました。
ホームページを作った業者に頼むときは、Wordに表を書いて送れば、「この表を会社概要の下に足してほしい」の一言で伝わります。
WordPressで自分で更新できるなら、表のブロックを1つ足すだけです。
表を足したあと、社長は最初の15個の一覧と新しい表を一緒に貼って、「この表を読んでもまだ答えが分からないものはどれか」とAIに聞きました。
残ったのは、15個のうち4つ。
2つは料金の目安のように、書かないと決めた行です。
1つは「病院での作業経験」で、病院の返事を待っているところです。
最後の1つは「担当者は毎回同じ人か」で、勤務表を組み直すまで書けません。
新しい表の1行目は、こうなっています。
対応エリア 市内全域、隣の2町。それより遠い場所も、定期のご契約ならご相談ください。
会社概要からホームページを見直したい方へ: このブログの運営者は「ことばとコード」の屋号で、小さな会社のホームページとLPを、原稿づくりから公開まで受けています。載せる中身はお話を聞いてこちらで下書きし、WordPressで社長が自分で更新できる形にしてお渡しします。
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登場する人と会社に、実在のモデルはありません。アイキャッチのイラストはAI生成です。


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