商工会でもらった冊子が、机の端に積まれています。
補助金の案内です。
3冊とも、最初の数ページで止まっています。
制度の名前が似ていて、どれが自社に使えるのか分からない。
読むだけで1日終わりそうなので、後回しにしている。
この記事は、その積まれた冊子を30分で仕分ける手順です。
登場する会社に実在のモデルはありません。
お金より、情報のほうが求められている
中小企業基盤整備機構の調査で、AI導入を進めるために必要な公的支援を聞いています。
| 支援の内容 | 割合 |
|---|---|
| 導入費用などの助成 | 77.9% |
| 導入事例などの情報提供 | 70.5% |
| 従業員向けの教育・研修 | 67.7% |
| 試行導入などの機会 | 61.3% |
| 専門家の派遣や導入相談 | 59.8% |
調査概要: 全国の中小企業10,000社に配布、有効回答1,647社(2025年11月17日〜12月12日)。
出典: 中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月)(https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/202603_AI_point.pdf)
1位は費用の助成で77.9%。ここは予想どおりです。
ただ2位に、事例の情報提供が70.5%で入っています。
お金が出ることは知っている。
何に使えばいいかが分からない。
補助金の冊子が積まれたままなのは、これと同じ構図です。
制度そのものより、自分の会社に置き換えた形が欲しい。
ここをAIで埋めます。
最初に読むのは「対象者」の1ページだけ
補助金の資料は分厚い。
ですが、自社に使えるかどうかは、たいてい前半の数ページで決まります。
見るのは4か所だけです。
1つ目、対象者。業種と規模の条件。
2つ目、対象になる経費。何を買えば出るのか。
3つ目、補助率と上限額。
4つ目、公募の締切。
ここだけ見て、対象外ならその冊子は捨てていい。
読み込むのは、残った1つか2つだけです。
捨てるのが不安なら、冊子の表紙に日付と「対象外」と書いて別の場所に置きます。
あとで人に聞かれたときに、いつ何を見て判断したかが残ります。
AIに読ませるときの注意
ここでAIを使いますが、大事な前提があります。
補助金の中身をAIの記憶から答えさせてはいけません。
制度は年度ごとに変わります。
名前も変わります。
たとえばIT導入補助金は、2026年は「デジタル化・AI導入補助金2026」という名前で運営されています。
AIが古い名前と古い条件で答えてきたら、そのまま信じてはいけない。
やり方は、公式サイトの該当ページか公募要領のPDFを開いて、その中身を貼り付けることです。
読ませてから聞く。
記憶で答えさせない。
これから補助金の公募要領を貼ります。自社が対象になるか判断したいです。
推測で補わず、貼った文章に書かれていることだけで答えてください。書かれていない項目は「記載なし」と答えてください。
【自社の情報】
・業種と規模: 【金属加工、従業員19名、資本金1,000万円】
・やりたいこと: 【受発注の管理をシステム化したい。加工機の更新も検討中】
・使える自己資金の目安: 【300万円まで】
【公募要領】
(ここに公式サイトの本文かPDFの中身を貼る)
次を出してください。
1. 自社が対象になるか。ならない場合は、どの条件に引っかかるか
2. やりたいことのうち、この補助金の対象経費に当たるものと、当たらないもの
3. 補助率・上限額・締切。書かれていなければ「記載なし」
4. 申請までに用意が必要な書類の一覧
「記載なし」と答えさせるのが要点です。
AIは空欄を埋めたがります。
埋めさせないための一文です。
これを3つの制度で繰り返せば、30分で仕分けが終わります。
PDFが長すぎて貼りきれないことがあります。
そのときは、公募要領の目次を見て「対象者」と「補助対象経費」の章だけ貼れば足ります。
全部を読ませる必要はありません。
「うちは通らない」は、たいてい思い込み
19人の会社は小さすぎる、と思っている社長は多い。
ですが、中小企業向けの制度は、そもそも中小企業のためのものです。
デジタル化・AI導入補助金の公式サイトは中小企業基盤整備機構が運営していて、対象や手続きがまとまっています。
制度の内容・補助率・上限額・公募回は年度や回によって変わります。数字を確認するときは、必ず公式サイトの当該回の公募要領を見てください。
出典: 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026」(https://it-shien.smrj.go.jp/)
もう1つ、知っておいたほうがいいことがあります。
補助金は基本的に後払いです。
先に自社で払って、実績を報告してから入金されます。
採択されたら明日お金が入る、ではありません。
受発注のシステムが200万円なら、200万円をいったん自社で払います。
補助率が2分の1なら、あとから100万円が戻る形です。
戻るのは、早くても数か月先になります。
手元の資金でいったん払えるかどうかは、申請の前に確認しておいてください。
仕分けが終わったら、人に会いに行く
AIで仕分けたあとは、商工会か、よろず支援拠点か、金融機関の担当者に会いに行きます。
先ほどの調査でも、専門家の派遣や導入相談が必要だと答えた企業が59.8%ありました。
行くときに手ぶらで行かないでください。
「補助金って、うちでも使えますかね」だと、また冊子を渡されて終わります。
AIが出した1〜4の答えを印刷して持っていく。
「この制度で、受発注のシステムは対象になると読んだのですが、合っていますか」
この聞き方なら、10分で答えが返ってきます。
その場で、もう一つ聞いておくといいことがあります。
次の公募がいつ頃か、です。
今回の締切に間に合わなくても、次があると分かれば準備の仕方が変わります。
まとめ
補助金が選べないのは、制度が多いからではありません。
全部を読もうとしているからです。
見るのは、対象者・対象経費・補助率と上限・締切の4か所だけ。
3冊のうち2冊は、たぶん対象外です。
公式サイトの文章をAIに貼って、推測せずに答えさせる。
残った1つを持って、人に会いに行く。
後払いであることだけは、先に頭に入れておく。
机の端の冊子は、今日の午後になくなります。
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