続けるか、たたむか 判断を先送りしないための材料をAIで揃える

仕事効率化・副業

この話を書くかどうか、少し迷いました。

会社をたたむ、という話が含まれるからです。

ただ、いま実際に起きていることを見ると、避けて通るほうが不誠実だと思いました。

2025年度に倒産した企業のうち、76.7%が負債1億円未満でした。

この30年で最も高い比率です。

大型倒産のニュースにはなりません。

従業員5人、10人の会社が、地元の誰にも気づかれないまま静かに終わっている。

この記事では、続けるか、たたむか、あるいは形を変えるか。

その判断を先送りしないために、生成AIを使って材料を揃える手順を紹介します。

登場する会社や人物に実在のモデルはなく、地方でよく聞く困りごとを組み合わせて描いた架空の設定です。

よくある状況: 従業員6名の地方の縫製工場。社長は68歳。赤字ではないが、利益はほとんど出ていない。子どもは県外で会社員をしており、継ぐ意思はない。社員の平均年齢は58歳。設備は20年前のもので、更新するには1,500万円かかると言われている。

いま静かに起きていること

まず、数字を見ておきます。

小さな会社ほど、静かに退出している:
項目数値
2025年度の企業倒産10,505件(前年度比3.5%増、12年ぶりの高水準)
うち負債1億円未満の割合76.7%(過去30年で最高)
2026年上半期の企業倒産5,346件(前年同期比7%増)
うち後継者不在を主因とするもの264件(14.7%増)

倒産の4社に3社は負債1億円未満です。話題になる大型倒産ではなく、小規模事業者の退出が中心になっています。
出典: 東京商工リサーチ「2025年度(令和7年度)の全国企業倒産1万505件」(2026年4月8日公表)(https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1202724_1610.html)、同「2026年上半期(1-6月)の全国企業倒産5,346件」(2026年7月8日公表)(https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1203029_1610.html)、同「2026年上半期「後継者難」倒産 過去最多の264件」(https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1203041_1527.html)

後継者のほうも見ておきます。

帝国データバンクの調査では、2025年の後継者不在率は50.1%でした(全国・全業種 約27万社、分析期間 2023年10月〜2025年10月)。

7年連続で改善していますが、それでもまだ2社に1社です。

他人事ではない規模の話です。

いちばん避けたいのは「決めないまま続けること」

誤解のないように書いておきます。

この記事は、たたむことを勧めるものではありません。

いちばん避けたいのは、決めないまま時間が過ぎることです。

決めないまま続けると、何が起きるか。

選べる選択肢が、年々減っていきます。

体力があるうちなら、事業を売るという選択もあります。

設備が動いていて、社員がいて、取引先が残っているうちなら、引き受け手が現れます。

ところが、社員が高齢化し、設備が止まり、取引先が離れたあとでは、譲る先も見つかりません。

そうなると、残るのは廃業だけになります。

しかも、その廃業にもお金がかかります。

設備の撤去、原状回復、社員の退職金、在庫の処分。

手元に現金があるうちに決めるのと、尽きてから決めるのとでは、まったく違う結末になります。

選択肢は「続ける」か「たたむ」かの2つではない

ここが大事なところです。

多くの社長は、続けるか、たたむかの2択で考えています。

実際には、間にいくつも選択肢があります。

1. 規模を縮小して続ける

不採算の部門をやめ、社員の減少に合わせて事業を小さくしていく形です。

2. 従業員に譲る

これが、いま最も多い形になりました。

承継の方法は、すでに逆転している:
承継の方法割合
内部昇格(役員・従業員への承継)36.1%
同族承継(親族への承継)32.3%
M&Aほか20.6%
外部招聘7.6%

2025年の速報値です。長年首位だった同族承継を内部昇格が初めて上回りました。全国の後継者不在率は50.1%で、7年連続の改善となっています。
調査概要: 全国・全業種 約27万社/分析期間 2023年10月〜2025年10月。
出典: 帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」(https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251121-successor25y/)

3. 第三者に譲る(M&A)

小規模でも、技術や取引先や許認可に価値があれば買い手はつきます。

4. 事業の一部だけを譲る

会社は残したまま、特定の事業だけを引き継いでもらう形です。

5. 計画的に廃業する

これも立派な選択です。ただし、計画的にやるかどうかで結果がまるで違います。

コピーして使える、判断材料を揃えるプロンプト

判断するには、材料が要ります。

その材料を並べる作業を、AIにやってもらいます。

プロンプト例(選択肢を洗い出して比較する):
あなたは事業承継と中小企業の再構築に詳しいコンサルタントです。
私の会社の状況をお伝えしますので、取り得る選択肢を整理してください。

・業種と規模: 【従業員6名の縫製工場、地方都市】
・社長の年齢と後継者: 【68歳。子は県外で会社員、継ぐ意思なし】
・業績: 【年商6,800万円、営業利益はほぼゼロ、赤字ではない】
・財務: 【借入残高1,200万円、預金900万円、工場と土地は自社所有】
・社員: 【6名、平均年齢58歳。技術のある職人が2名】
・設備: 【主力機械は20年前のもの。更新には約1,500万円】
・取引先: 【アパレル2社で売上の8割】

次を出してください。
1. 考えられる選択肢を5つ以上。それぞれ、続ける場合・譲る場合・たたむ場合を含めて
2. 各選択肢について、社長本人・社員・取引先にとってどうなるか
3. 各選択肢を選ぶとしたら、いつまでに何を決める必要があるか
4. いまの情報では判断できないため、追加で調べるべきこと

特定の結論に誘導せず、事実にもとづいて整理してください。

最後の1行を必ず入れてください。

指定しないと、AIは「頑張って続けましょう」という方向に寄りがちです。

次に、いちばん先送りされやすいものを出させます。

プロンプト例(廃業を選んだ場合の費用を概算する):
仮に2年後に計画的に廃業するとした場合、必要になる費用と手続きを整理してください。

【上に書いた会社の状況をここに貼り付ける】

次を出してください。
1. 想定される費用の項目(設備撤去、原状回復、退職金、在庫処分、専門家への報酬など)と、中小企業の一般的な水準
2. 法的に必要な手続きと、それぞれの目安の期間
3. 社員に伝えるべき時期と、伝え方で気をつけること
4. 取引先への連絡の順番と時期
5. 廃業ではなく譲渡を選んだ場合との比較(手取りと、社員の雇用の観点で)

金額は概算でかまいませんが、地域や規模で変わる点は明記してください。

この計算をしてみると、多くの場合「たたむのにもお金がかかる」ことが分かります。

そして、その事実が「では譲る方向で考えてみるか」という判断につながることがあります。

1人で決めない

最後に、これだけは書いておきます。

この種の判断は、AIだけで決めてはいけません。

事業承継・引継ぎ支援センターが各都道府県にあり、無料で相談できます。

M&Aの相談も、廃業の相談も、まずここが入口になります。

地方では伴走支援を受けた経験のある企業が32.6%にとどまっています。

使っていないだけで、窓口はもうあるのです。

AIで整理したものを持って行けば、初回の相談から中身に入れます。

まとめ

倒産の4社に3社は、負債1億円未満の小さな会社です。

そして、いちばん避けたいのは決めないまま時間が過ぎることです。

体力があるうちなら、選択肢は5つあります。

尽きてから決めると、残るのは1つだけです。

続けるか、たたむか。

その2択で考えるのをやめて、間にある選択肢を並べてみてください。

並べる作業は、今日AIに頼めば1時間で終わります。

そのうえで、来月には支援センターの予約を取ってください。

会社の先行きを整理したい方へ: YouTubeチャンネル「社長のAI参謀」では、中小企業の社長向けにAIの使い方を動画で解説しています。

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